【スターウォーズ英文法】ダース・ベイダーに学ぶ仮定法過去


◆仮定法過去とは?

仮定法過去は、現在の事実の逆や願望を表します。

形は過去形でも、意味は「現在」です。事実は「現在」にあります。
If + S + 過去形~, S + (would, should, could, might) + 原形~
(もし、Sが~なら、Sは~なのに) 
※If節のbe動詞は通常 were

◆初期三部作の中の、ダース・ベイダーの台詞から、仮定法過去の文を引用します。

「帝国の逆襲」より。
「ルーク・スカイウォーカーが我らにとって脅威となるだろう」という危惧をもらす皇帝に、ベイダーが言った言葉。

【原文】
If he could be turned, he would become a powerful ally.

仮定法過去で表現することで、遠回しな提案になっている。

【単語】
turn:自動詞で「寝返る」「裏切る」「変節する」という意味がある。
ally:名詞で「味方」の意味。

「帝国の逆襲」より。
クラウドシティーでハン・ソロたちを食卓に迎えて言った台詞。

【原文】
We would be honored if you would join us.

直訳すれば「ご参加いただければ、光栄です」という意味。
字幕でも吹き替えでも、かなり意訳していることになる。
訳された日本語からは、原文が仮定法過去だということは分からない。

【単語】
honor:光栄に思って、栄誉に思って
join:加わる、参加する

「約束が違います!」とつめよるランド・カルリシアンを一喝した後の台詞。

【原文】
Good, it would be unfortunate if I had to leave a garrison here.

「ここに駐留部隊を残さなければならないとすれば、それは不幸なことだろうなぁ」という意味。
直訳するとあまりにもったいぶった言い方になるせいか、意訳されている。

【単語】
unfortunate:不運な、不幸な、望ましくない
garrison:駐留部隊

「帝国の逆襲」より。
ルークに向かって「仲間になれ」と誘った際の言葉。このあと、自分がルークの父であることを明かす。

【原文】
If you only knew the power of the dark side.

if onlyで始まる文で、直訳すれば「お前が暗黒面の力を知ってさえくれればなぁ」という願望の表現となる。
日本語訳では「教えてやる」となっているが、日本語だと、原文が仮定法過去であるという痕跡が全くなくなる。
ルークを”join me”と誘ったものの、"I'll never join you!"と拒否されたベイダー。そこで出るのがこの台詞である。
まさに「お前は知らないだけなんだよ。知ってさえくれればなぁ!」という叫びなのだろう。

【私見】
以上の例文からすると、仮定法過去の文は、直訳されることが稀だと言えるようです。上記四つの文のうち、三つは大幅な意訳です。
仮定法過去を直訳すると、日本語としては不自然な表現になる、ということなのでしょう。

◆蛇足--仮定法過去でないifの文

日本語訳は省略します。興味があれば調べてみてください。
仮定法過去は意訳されることが多いですが、以下の台詞はほぼ直訳されています。

これも「ジェダイの帰還」のラストバトルより。
sheは、レイア姫のこと。

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